むかしむかし





おおきな空がありました。
しろい雲がありました。
とおくに虹がみえました。
とてもとてもきれいでした。


でも、だれもそれに気付きません。


ひとはみんな下をみていました。
あしもとの影をみていました。
そしてとてもこわい顔をしていました。



だれにもみてもらえない空は、
とうとう泣きだしてしまいました。
オレンジ色のなみだでした。



そしてやがて空はまっくらになりました。
にんげんたちにゼツボウして、
じぶんも影になることにしたのです。



もう、おおきな空はありません。
しろい雲もありません。
虹もきえてしまいました。



空があったところには、
まっくろな影があるだけです。
ただ、空のながしたなみだが、
キラキラと光っているだけです。



そしてやっぱり、
だれもそれに気付かないのでした。




















 
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